高齢者の救急受診 ~5つの特徴と注意点~ 1/2


高齢者をケアしていて「何かがおかしい」「いつもと何かが違う」感じたが、具体的に何が違うのかが分からないままになり、後で病状が悪化したり急変がおこったりした経験はありませんか。これから高齢者が救急受診する際の特徴と注意点を解説していきます。受診時の対応はもちろん、救急受診をする前に急変や状態の変化を【見逃さない】【予測する】ための基礎知識を身につけましょう。

1.典型的な疾患が非典型的な症状であらわれる
手がかりは病歴聴取から

肺炎や心筋梗塞といったよく遭遇する疾患も、高齢者では咳・発熱あるいは胸痛という典型的な症状ではなく、「食事が摂取できない」とか「汗をかいている」というような非典型的な症状で表れる場合が多くあります。「いつもはできていることが今日はできない」も重篤な疾患のサインである可能性があります。重篤な疾患を見逃さないためには、高齢者本人、時には家族や介護者から慎重に病歴聴取を行い、「いつもと何が違うのか」をはっきりさせる必要があります。そして「いつもと何が違うか」を理解するためにはADL(日常生活動作)に注目した問診が大切になります。
「今日はどうされましたか?」と尋ねても、「今日は天気が悪くて~それで、洗濯が・・・」など、こちらが聞きたい情報とはかけ離れた会話になることがあります。高齢者の病歴聴取は小児や成人の3倍は時間がかかると始めから割り切って話しましょう。

家族や介護者からの病歴聴取も重要

高齢者の中には、認知症などで病歴を正しく話すことができない方もいるので、家族や介護者に同伴してもらって病歴聴取を行うのも1つの方法です。
患者さんが間違った病歴を話した時に修正してもらえる可能性があります。病院嫌いの高齢者で、私が診察した時にはすでに症状が改善してしまっている方がいました。ご本人は「最初から何ともないんだ!わしゃ帰るぞ」と言って帰宅しようとしたところで、ご家族が「家では胸を押さえて、冷汗をかいて苦しがっていたのです」と伝えてくれたおかげで心筋梗塞を見逃さずにすみました。また、転んで頭を切った高齢者で、ご家族の「倒れた時は白目をむいて意識がありませんでした」という発言のおかげで不整脈発作により意識を失っていたことを発見できた経験もあります。家族の前で親身に病歴聴取を行う姿勢は、家族に「大切に診てもらっている。年寄りだからと軽視されているわけではない」というメッセージを伝えることにもなり、医療トラブルの回避にも役立ちます。



2.基礎疾患が受診理由に関与していることが多い
既往歴はしっかり聞こう

病歴聴取の中で、既往歴の確認は次の3つの点で大変重要です。
第1に、「腹部の手術歴がある高齢者の便秘・腹痛だから、腸閉塞から考える」「アルコール性肝硬変のある患者の精神変容だから、低血糖や慢性硬膜下血種から考える」など高齢者の急病では既往歴が関係していることが多くあります。
第2に、「腎機能低下の既往がある高齢者に、解熱鎮痛薬を通常の成人と同じような量で処方すると心不全や高カリウム血症をきたす危険性があるから使用量を少量にする」「心不全の既往がある患者の脱水なので、輸液はゆっくりのスピードで時間をかけて行う」など薬剤処方や治療の判断材料にもなります。
第3に、「腎機能低下をきたしている高齢者の場合は、たとえ急性胃腸炎であっても輸液のために入院を考慮する」「肺気腫で在宅酸素療法を行っている高齢者では、呼吸不全の憎悪の危険性があるので入院させ経過観察する」など入院・帰宅などその後の対処を決めるうえで判断材料となります。

→ 高齢者の救急受診 ~5つの特徴と注意点~ 2/2

引用文献
参考文献
著書 JJNスペシャル NO.88 医学書院 岩田充永
急変予防&対応ガイドマップ 高齢者救急

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