高齢者の救急受診 ~5つの特徴と注意点~ 2/2


3.内服している薬剤が受診に影響することがある
薬剤内服歴の聴取は必須!

高齢者は糖尿病、高血圧症、心不全、脂質異常症、骨粗鬆症、便秘症など非常に多くの基礎疾患を抱えていることがあり、そのような場合はたくさんの薬剤を処方されています。複数の医療機関から処方を受けているにもかかわらず、処方内容全体が把握されていないため、薬剤の副作用で入院となってしまったり、反対に内服が確実にされていないことが原因で救急受診になったり、時には入院にまで至ることも少なくありません。

*高齢入院患者の薬剤に関して検討するべきこと
1.受診(入院)時に検討するべきこと
・処方されている薬剤をすべてリストアップする
・現在の症状が、薬剤の副作用や相互作用による可能性はないか検討する
・薬剤の服薬状況を確認する
2.帰宅(退院)時に検討するべきこと
・処方薬剤を必要最低限に整理する
・ADLや認知機能に問題があって服薬管理に援助が必要な場合は、適切な介護プランを立てる

4.生活環境への配慮が求められる
帰宅や入院など転帰の決定には、生活環境が大きく影響する

「命にかかわるような危険なめまいではないが、独居で見守り体制が十分ではないので入院を考慮する」など、病気や怪我の程度はそれほど重症ではない場合も、介護や見守りの体制を把握しましょう。帰宅後も高齢者が安全に生活できるか、内服治療は確実にできるか、再診の約束が守られるかなど生活面への配慮が必要です。
この配慮を怠ると、「発熱で受診した高齢者を帰宅させたら、ふらついて階段から転落して重症な頭部外傷を負ってしまった・・・」とか「内服薬を処方したにもかかわらず、認知症があってまったく内服されていなかった」というような事態が発生してしまいます。
救急治療の現場では、医師はどうして病気や怪我の治療にばかり目が行ってしまう傾向があります。このような時こそ「この患者さんに帰宅後にどのような生活をおくるのかしら?」という看護師の洞察力だ何らかの介入プランを立てることが高齢者にとっても医師にとっても大きな助けになります。



5.精神面への配慮が必要とされる
高齢者の心は繊細である!

医療者は、親しみを込めたつもりで高齢者に対して「おじいちゃん(おばあちゃん)、今日はどうしたの~」などと話しかけてしまうことがあります。このような話しかけに対して、多くの場合高齢者は何も言いませんが、指摘がないからといって我々に好意を抱いているとは限りません。
我々医療者が「おじいちゃん、おばあちゃん」と呼ぶことで高齢者は心を痛めているという報告もあります。人生の先輩として敬意を払い「○○さん」というように名前で呼びかけるべきです(あなたが、病院を受診した小児から「おじさん(おばさん)」と呼ばれたら悲しい思いをしますよね)。
高齢者の心は非常に繊細で、少しの出来事(何か簡単なことができなかったとか、軽くあしらわれたという場合)で抑うつになりやすいです。抑うつを合併すると病気や怪我が改善してもリハビリが進まず、大幅なADL低下をきたすといわれています。

抑うつの評価について

高齢者は少しの生活環境の変化でも精神的な衝撃を受けやすく、抑うつを合併する危険があります。入院高齢者が抑うつを合併すると入院期間が長期となったり、生活能力の低下を招くなど悪循環に陥ってしまいます。「入院後に不眠を訴える」「原因疾患はかいぜんしているのに食欲が低下し、リハビリが進まない」などがあったら早期に抑うつの評価を行い、看護師・精神科医・カウンセラーを交えた医療チームで介入を行う必要があります。抑うつの評価にはGDS-15などの評価ツールがよく用いられます。

下記は、URLは、
心の健康チェックのための質問票(老年期うつ病評価尺度(Geriatric depression scale 15;GDS15))
URLをコピーしてお使いください。

https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tool/pdf/tool_11.pdf

→ 高齢者の救急受診 ~5つの特徴と注意点~ 1/2

引用文献
参考文献
著書 JJNスペシャル NO.88 医学書院 岩田充永
急変予防&対応ガイドマップ 高齢者救急

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