障害者の心の声に耳をすまそう ー悩みを打ち明け共有。精神障害のある人たちの地域活動拠点「浦河べてるの家」北海道浦河。

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北海道の襟裳岬に近く、競走馬の産地として知られる浦河町に、主に精神障害のある人たちの地域活動拠点「浦問べてるの家」がある。

全国から集まった約100人がグループホームなどで暮らし、独自の活動である「当事者研究」に取り組む。

当事者が幻聴などの病状を隠すことなく語り合い、苦勇や悩みを共有しながら、障害と共生する方法を探っている。

5月中旬、週に1度の「研究」のために30~70代の約20人が集まった。

「頭に電波が届く」 「川に大きな竜が横たわっている」。

当事者たちのロから幻聴や妄想による独特の世界観が語られる。

そううつ病のある50代女性は、不安に駆られて1日5、6リットルの水を飲んでしまうと明かした。

他のメンバーは「労を私たちに預けて」「苦労の銀行をつくってみては」とユニークなアドバイス。

会場に笑いが起こり、女性も安心したように息を吐き出した。

 

従来の精神科医療は、幻聴や妄想などの症状に、投薬や入院で対応するのが一般的。

当事者が病名や病状をさらけ出すことはタブー視されてきた。

当事者研究はその「常識」に真っ向から立ち向かうものだ。

考案者は、ベてる創立者の一人で、40年近く当事者に寄り添ってきたソーシャルワーカーの同谷地生良さん(63)。

2001年、暴力的になる「爆発」に悩む統合失調症の男性に、「一緒に爆発の “研究,をしないか」と声を掛けたことをきっかけに始まった。

それ以来、生きづらさや生活上の問題を抱える当事者と支援者たちが、試行錯誤しながら共に「研究」を続けてきた。

向谷地さんは、「一人一人が抱える弱さを寄せ合った時、つながりが生まれ、助け合いが始まる。

弱さを公開することこそ、地域の中で生きやすくなる大切な条当事者スタッフとして働く秋山里子さん(42)は20代で重いうつ病と診断された。

自傷行為をしたり、強制入院したりする日々を送り、15年前にぼろばろの状態でたどり着いた。

仲間に支えてもらいながら生活を送る中、徐々に自分を取り戻していった。

「ここに来るまでは普通に生きるのが難しかった。人との触れ合いによって、こんなにも自分が変わるなんて」

 

ベてるには当事者研究の現場で学ばうと毎年、精神障害者や家族、研究者ら約2千人が見学に訪れる。

年に1度、最も際立った体験をしたメンバーを表彰する「幻覚&妄想大会」を開催。

暗いイメージで捉えられがちな障害を、明るく発信する取り組みも全国から注目を集める。

一方で、当事者自ら各地へ講演に出向き、孤立する当事者や家族らに「障害と共に生きることを伝えている。

向谷地さんは「当事者研究は障害の有無にかかわらず、あらゆる人にとって生きやすさを育む知恵。

医療や福祉にとどまらず、教育や子育てなどさまざまな分野で応用できる」と強調する。

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