水分ケア④ 水分欠乏 便秘 脱水 低血糖



表1 水分欠乏による障害(表の%とは体内総水分量に対する百分率である)

1~2% 意識障害
2~3% 発熱・循環機能に影響
5% 運動機能(特に耐久性)低下
7% 幻覚の出現
10% 死亡

*高齢者の体重の50%が総水分量とすると、仮に体重50kgの人では25kgで25000mlが総水分量となり、1%は250mlとなる。


5)水分欠乏が原因のひとつとなりうる他の障害

表1では水分欠乏に関するこれまでの研究で分かっている事実を紹介したが、このほかにも水分欠乏が原因となりうる問題があるので、それらを述べておこう。

1.歩行を含むすべてのADL:身体的活動(身体動作)は筋肉が関与する。この筋活動が水分欠乏でうまくいかないとADL障害の一原因となりうる。
2. 排泄:便秘は水分欠乏によっておこる最大の排泄障害である。水分欠乏は何日も排便のない便秘とよばれる現象だけでなく、排便が生じてもその時間帯を不規則にする。
一方、排尿における尿失禁の原因に水分欠乏があることが多い。
3.むせと摂食嚥下:咀嚼や舌の動き(つまり口腔機能)は筋肉運動で、水分欠乏の影響を受ける。それとともに、水分欠乏はだ液の減少を起こし、円滑に飲み込めす食塊がつくれない。食塊形成がうまくいかないと食物片やだ液の一部が気管に入ってむせこみが生じる。
4.認知症状:認知症のところで詳しく述べるが、認知症の症状は、認知力の低下でおこり、その最大の原因が意識レベル低下である。

2.水分ケアの実際

高齢者に必要な水分をとってもらえるかどうかは重要な介護技術である。飲んでもらおうと思っても拒否される場合もあってなかなか上手くいかない。という介護職は介護技術が低いというべきである。

1) 水分とは何か

これまで単に水分という言葉をつかってきたが、ここで水分に含まれるものをあげてみよう。まず水分とは、口から「飲む」という動詞で体内に取り入れる液体をいう。
それには、次のようなものがある。

水とよばれるもの:水道水、ミネラルウォーター、イオン水や水素水など
お茶類:日本茶、コーヒー、紅茶など
果汁、ジュース、牛乳など:すべてのジュース、牛乳
「食べる水」:寒天ゼリー100gは胃で100mlの水分を放出する。おやつ代わりに食べて気分を変えてみる
(水分に含めないもの)「食べる」という動詞で表現するものは含めない。スイカは水分が非常に多いが含めない。「みそ汁」は日本では「飲む」といわれるが、ミソスープを含めスープは「食べる」と表現されるのでこれも含めない。アルコール(ビールなど)は分解の過程で水を消費し脱水のもとになるので含めない。二日酔いは脱水と低血糖で生じる。

2) 水分ケアのプログラム(ケアプラン)

水分ケアをきちんと行うには水を提供するプログラムが必要がある。

1.1日量
起床時から夕食時までの間に飲んでもらう量を決める。目標量の設定で、ふつうは1500mlとし、糖尿病や利尿剤内服の例は水分の排泄量が増えるので1800mlとする。
2.起床時が飲ませやすい
夜間は水分補給がないまま不感蒸泄が起こっているから、起床時がもっとも水分が欠乏している。ふだん水を飲みたがらない人でもこの時間帯なら飲みやすい。
3.午前中に1日分の半量をめやすに
1500mlが目標なら昼食時のお茶を含めて午前中に800mlほど飲んでもらう。こうすると午前中に“元気な”状態となって活動的になり、それがさらに水を飲ませやすくなる。
4.種類が多いと選択の幅が広がる
水と番茶だけでなくコーヒー・紅茶・中国茶(ウーロン茶など)。気分転換にもなる。
5.昔の好み(お茶の種類)を生かす
なじみのお茶は飲んでもらいやすい。このほかに好みを聴いてケアに生かすと、この職員(あるいは施設)は自分のことに気をつかってくれる、と信頼感が高まる可能性がある。

→ 自立支援介護の基礎 ~水分ケア① 総水分量 体内水分量

→ 水分ケア② 不眠 尿毒症 不感蒸泄 アシドーシス

→ 水分ケア③ 水分摂取量 水分欠乏 意識障害

→ 水分ケア⑤ 水分摂取量 心不全 水分制限

引用文献 参考文献
新版 介護基礎学 ~高齢者自立支援の理解と実践
竹内孝仁 著書

【スポンサーリンク】

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です