水分ケア③ 水分摂取量 水分欠乏 意識障害


3)1日1500mlの水分は多いか~水は多いほどよい

介護の研修会で1日の飲水のめやすは1500mlというと、“そんなに飲んでも大丈夫か”施設で実行しようとしたら看護師(ときに医師)からストップがかかった“という声があがることがある。猛暑の時期の熱中症騒ぎで、自治体などの呼びかけに”1日1500mlの水分を“というフレーズが目につくようになっても、まだ”古い“”根拠のない“考えを棄てきれない人たちがいる。
重症の腎不全を除けば、1日に1500mlくらいの水分摂取はまったく問題なく、それどころ“水分は多く摂るほどよい”ということが経験される。
それは特別養護老人ホームを訪問したときのお年寄りたちの様子から感じとれる。

・1日平均水分摂取量が1000ml以下の施設では、こちらの声かけ(こんにちは)に顔を向けず返事もしない(できない)お年寄りが目立つ、よくいわれる“コミュニケーションがとれない”状態である。
・1日平均水分量が1300mlかそれを超えるくらいになると、こちらのあいさつに“こんにちは”と返事が返ってくることが増える。
・1500mlを超え1800ml移乗くらいになると、あいさつのあと会話が成り立つようになるうえに、冗談まで出てきて笑い声が聞こえるようになる。

気の合う人や職員・家族と軽口をたたいて笑いが出るような日常生活をつくり出したい。それには1500mlどころか1800~2000mlほどの水分を提供する必要がある。
水分は体の細胞機能を活性化するため、水分摂取量が多いほど細胞は活性化することになる。
“多ければ多いほど”といっても、お年寄りの飲める量は1日2200~2300mlくらいが限界で、この程度ならまったく問題ない。よく言われる「心不全」や「低ナトリウム血症」での水分制限は、誤った知識の迷信、血液検査だけで判断してはならないと言われている低ナトリウム血症に関する無知によるものである。


表1 水分欠乏による障害(表の%とは体内総水分量に対する百分率である)

1~2% 意識障害
2~3% 発熱・循環機能に影響
5% 運動機能(特に耐久性)低下
7% 幻覚の出現
10% 死亡

*高齢者の体重の50%が総水分量とすると、仮に体重50kgの人では25kgで25000mlが総水分量となり、1%は250mlとなる。




4)水は欠乏すると問題が生じる

水分量で気をつけなければならないのは「欠乏」すると様々な問題が生じることである。

上記、表1はこれまでの研究で分かっている「水分欠乏による障害」である。ただしこのうち1~2%で意識障害とは、何らかの研究で実証されたものではなく、水分が不足してくるとまず覚醒水準が低下してくる(ぼんやりしてくる)という実際場面での経験に基づいている。この症状は2~3%欠乏の発熱(多くは微熱)に先行して生じる。

・2~3%(体重50kgの人で500~700ml)欠乏の発熱はほとんどが微熱出、不感蒸泄の水が足りなくなって体熱の発散が不十分になったためである。また循環機能に影響とは水分欠乏で血液が濃縮した状態になって流れが悪くなったと思えばよい。
動脈硬化が進んでいれば脳梗塞の危険がある。高齢者の脳血管障害(脳卒中)のほとんどは脳梗塞で、明け方に多いのは睡眠中に飲水しないまま不感蒸泄で水分が発散し続け、明け方に水分欠乏がピークとなるからである。
・5%欠乏では立ったり歩いたりできなくなり、転倒骨折のリスクが生じる。転倒骨折の予防は履きものなどよりまず第一は水分なのである。
・7%欠乏でははっきりした幻覚、幻聴などが生じ、認知症の例ではレビー小体型と誤解されやすい。

*幻覚があったらまず水分欠乏を疑うべきである。

→ 自立支援介護の基礎 ~水分ケア① 総水分量 体内水分量

→ 水分ケア② 不眠 尿毒症 不感蒸泄 アシドーシス

→ 水分ケア④ 水分欠乏 便秘 脱水 低血糖

→ 水分ケア⑤ 水分摂取量 心不全 水分制限

引用文献 参考文献
新版 介護基礎学 ~高齢者自立支援の理解と実践
竹内孝仁 著書

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