水分ケア⑤ 水分摂取量 心不全 水分制限

3 水分ケアと心不全 ~頑固な迷信~

高齢者の水分摂取量を増やそうとすると、”心不全になるからだめ”と中止を強制する看護師や医師がいる。
このような意見は間違った知識にもとづくものなのだが、一部には「頑固な迷信」となって適切な水分ケアを妨げ、結果的に脱水症だらけの施設をつくったりする。そうなると高齢者のADLはひどく低下し、自立からほど遠くなることに彼らは責任をもとうとしない。
介護職は、いまのところ医師や看護師に”指示される”立場に置かれているが、正しい知識をもち医師や看護師とディスカッションできるようになっておきたい。


1)心不全とはどのような病気か

「不全」ということば(心不全、肝不全、腎不全)は、その臓器がもっている機能が正常に発揮されない状態をいう。
その原因には何らかの病気が潜んでいる。
心臓弁膜症による心不全、というように、
原因となる心臓の病気は何でもよい。ということは心臓の病気はすべて心不全の原因になりうることになる。
心不全には急性心不全と慢性心不全がある。
急性心不全は「急性心筋梗塞」によって心臓そのものがダメージを受け、その結果、心臓の機能が急速に低下し、ときには短時間で死にいたることがある。
慢性心不全は、慢性的な心臓の病気を抱えているために心臓の機能が正常よりも劣っているところに、日常の動作(労作ということばが用いられる)がその機能を上まわった場合に、心臓はその労作に耐え切れなくなり、いろいろな症状が現れる状態をいう。そのときに心臓に急性心筋梗塞のような新しい事件がおこったわけではない。低下している心機能と労作との相対的な関係なのである。私たちでも激しい運動をすると心臓が苦しくなるが、そのときに心臓に何か病気が発生したわけではないのと同じである。ただし心臓のもとの病気が悪化して慢性心不全も重症化することはありうる。
心臓は血液を循環させている臓器である。体を動かしたり運動をすると、安静時よりも全身への血液供給を増やす必要があり、ふつうは心臓のはたらきを強めてその状態(血液需要の増加)に対応する。
心不全とはこの(全身が必要とする)血液需要に応じきれないことをいう。
心不全に対する治療の考え方は、ごく単純化していえば、心臓が循環させる血液の量が処理能力を越えて”多量”になって善良を循環させることができなくなったと考える。
血液量が”多すぎる”ことについてはそれを減らして心臓の負担を減らせばよいという考え方が生まれる。「水分制限」という考え方は、循環する血液量を減らそうという発想である。考え方としては間違っていないのだが、問題はその適応、つまり”どのような慢性心不全に水分制限をするのか”に問題がある。

→ 自立支援介護の基礎 ~水分ケア① 総水分量 体内水分量

→ 水分ケア② 不眠 尿毒症 不感蒸泄 アシドーシス

→ 水分ケア③ 水分摂取量 水分欠乏 意識障害

→ 水分ケア④ 水分欠乏 便秘 脱水 低血糖

引用文献 参考文献
新版 介護基礎学 ~高齢者自立支援の理解と実践
竹内孝仁 著書

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