元気がない高齢者では、どのような疾患を考えたらよいでしょうか?
「比較的急速にADLが低下した高齢者」であることを理解した場合、「年のせい」ではないことを理解しなければいけません。
・老化はゆっくり進行する
正常な老化は非常にゆっくりとした進行であり、今回のように数日で進行する場合は病気の可能性が高いと考えるべきです。「食事が摂取できない」とか「ベッドから起きてこない」という漠然とした訴えで救急外来を受診した場合も、2人に1人は入院が必要な状態であったという報告があります。
・ADL低下は急性疾患のサイン
高齢者では自律神経機能や体温調節機能が低下しているため、急性心筋梗塞などの重篤疾患になっても痛がらないことや、感染症になっても発熱しないことが多くあります。
図4 高齢者の活動性が低下したときに疑うべき疾患
・急性心筋梗塞(12誘導心電図をチェックしよう)
・心不全(呼吸数の増加は?心拍数増加は?SpO2低下は?体重増加や浮腫は?) ・感染症(肺炎、尿路感染症、胆道感染症、褥瘡、敗血症などを探す) ・慢性硬膜下血腫(急速な認知機能の悪化はないか?) ・貧血(消化管出血や悪性腫瘍の検索が必要。黒色便はないか?) ・脱水症(舌や皮膚の乾燥は?) ・副腎機能不全 ・甲状腺機能低下症 ・薬剤の副作用(内服薬はすべてリストアップしておく) ・うつ、認知症 ・パーキンソン病 |
*ADLの低下が重篤な急性疾患の唯一のサインであるケースもあることも覚えておきましょう。
“ここがポイント!”
高齢者の「元気がない」は背後に重病の影あり 1.元気がないのは年のせいではない! 2.ADLの低下が重篤疾患の唯一の症状であることも多い (痛がらない、熱も出ない)。 3.「元気なし」高齢者の4大急性疾患をマークせよ。
|
引用文献
参考文献
著書 JJNスペシャル NO.88 医学書院 岩田充永
急変予防&対応ガイドマップ 高齢者救急
コメントを残す